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自閉症のいちばん分かり易い理解の仕方 [SAM]

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1989年 ローナ・ウイングを筆頭にアトウッド、バロンコーエン、フリス、ハッペ等の研究が結実し、
自閉症の理論的な定義が医学界で受け入れられ、判定基準となりました。

それまで、特に知恵遅れの子でも、果たしてその子供を自閉症と言うべきか否かは、おおよそでしか
判断出来なかったのです。






それが理論的に自閉症か否かを判断出来るようになり、知能が高い自閉症がいる事も証明されました。
その知能の高い自閉症を「アスペルガー症候群」とし、過去の呼び名を現在に蘇らせ流用しました。
古典的自閉症のカナー型から知能の高い自閉症アスペルガー症候群。
すべてのタイプを「自閉症スペクトル」に含まれるモノ、一つの障害として定義づけたのです。






此所に至るには、人工知能の生成ロジックや人間の認知研究の結果も非常に大きな力を発揮しました。
用語ばかりが難しい自閉症の理論ですが、最も分かり易いのが今日の話です。






子犬にカガミを見せます。子犬は仲間が居るかとカガミに鼻を付け、さらにカガミの裏側に回ります。
これで、カガミはカガミであり仲間では無いと知ります。そして、もう興味を持ちません。
トリから猿、イルカまで同じ行動をとります。  これは動物の行動です。






18ヶ月以前の幼児にカガミを見せます。カガミに向かって笑いかけたり、手で触ろうとしますが、
それで終わりです。これも動物と同じ行動です。






22ヶ月を過ぎた幼児にカガミを見せます。この時、鼻の頭にクリームを少し付けます。
鼻の頭にクリームを付けた顔を見て大笑い。すぐに自分の鼻にクリームが付いていると判断し、
鼻に付いたクリームを取ろうとしたり、大笑いしながら母親に見せようとしたりします。

この行動は、「カガミに映っているのは自分の姿である」と認識したと言う証明です。つまり「マインド」(この場合は自我)を持っている。自分と言うモノを認識していると言う事です。






この実験は、人間の認知を知る実験として広く知られ、ディスカバリーチャンネルでも非常に上手に
映像化されていますから、皆さんもテレビで見た事があると思います。






この18ヶ月から22ヶ月のほんの4ヶ月間に、人間は「マインド」「自我」を獲得する事をこうして
証明されたのです。
動物と同じ行動止まりだった幼児が、「マインド」「自我」を獲得し正常な人として成立した瞬間です。






一方「マインド」「自我」を獲得せず成長した人間が存在します。「マインド」「自我」を
持たない18ヶ月以前の幼児のまま成長したと言う事です。
その状態の人の事を「自閉症スペクトル」自閉症者と呼びます。
つまりサイモン・バロン=コーエンが「マインドブラインドネス」の理論で証明した人の事です。






ですから、正確な診断には22ヶ月以降になるまで待つ必要があるのです。

また非常に知能が高くこの指標をすり抜けた場合でも、その後の指標、例えば「サリーとアン」の課題
であったり、その他の判定基準とする課題があり必ずいつかどこかの時点で判定がつきます。






自閉症とは「マインド」を獲得出来ない事、つまり「マインドブラインドネス」である事。
「マインドブラインドネスの人、この人の事を自閉症と言う」と言う事なのです。






さらに分かり易く言うと、どんなに知能が高くてもマインドに於いては
「動物と同じレベル」と言う事なのです。






医師が知能の高い自閉症児を診察し、判断出来ず「グレーゾーン」とする事があったとしても、
自閉症の「グレーゾーン」は存在しません






「マインド」があるか無いか。「マインドブラインドネス」であるかどうかだけなのです。



理解出来ない人はコメントをどうぞ
【自閉症テレビ11】ホントの診断法アスペルガー


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我が強い 自我 [SAM]

私は社会に巧く溶け込めません。
私は他人とコミュニケーションを巧くとれません。
私は悪気がないのにすぐ人の気を悪くするような事を言ってしまいます。
私は人の気持ちが時々分からなくなり悩みます。
どうしたら友達と仲良くしていけるのでしょうか。



こんな事、人間であれば全世界の人間が考えます。
人間生きていれば、思い通りに行く事など無く、幼稚園児だって人間関係に悩んでいます






それを殊更「それは発達障害です」とするのは、何か意図を持っている人が言う事で、
わざわざ障害者に仕立て上げようとしている様なモノです。日本の現状はそうですけどね






ところが、自閉症の障害はそんな程度では済みません
1.社会的相互交渉   の障害
2.コミュニケーション の障害
3.想像力       の障害






この三つの障害すべてが揃って初めて「自閉症スペクトル」と言う障害と認められるのです。






それを書き表したのがローナ・ウイングの本

自閉症児自閉症者、知能にかかわらず一体何の障害なのか。何が出来ないのかを実例を以て解説し
全ての自閉症児・アスペルガー症候群の子育ての参考になるように書かれた本です。






そしてウイングの理論(自閉症スペクトル理論)の裏付けになった、自閉症をさらに理論的に
解明するとどう言う事かを解説したのがこちらの本。

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サイモン・バロン=コーエンの「自閉症とマインド・ブラインドネス」青土社です。






この本は「正常な人」から見ると、あまりに当たり前な心の中の「自動プログラム」について
書かれているので難しい筈です。

あれっ?ちょっと待って下さい。今まで読みつなげて来たマインドブラインドネスの解説。
その解説によると分かりやすいと言う話だったのでは。それはひとまず置いておいて先に進みます。






どう言う事かと言うと、高梨沙羅のスキージャンプに置き換えて考えてみます。

スキーのジャンプは元々あり得ない作業を頭と身体と訓練と技術で、最高の結果を再現しようとします。
自分がやっている事を常に認識しながら慎重且つ大胆に行います。
だからこそ自分がその時何をしたか。何を考えどうバランスを取ったか考える事が出来るのです。



自閉症者に日常生活で「心・マインド(内面)」を見つめろと求める事は、スキー選手でも無いのに
今からジャンプ台を飛んで高梨沙羅がもっと飛べる方法を考えて来いと要求する様な事なのです。
中には「内面を見つめる事が出来るサバン」が居るかもしれませんが、小学生ジャンパーにも及ばない
筈です。





では正常な人の「心」はどうでしょう。ここで言う「心」とは心の理論での「心」。
そしてマインドブラインドネス理論での「マインド(内面)」です。

正常な人は息をしているように、全く意識もせず無意識下で心の「自動プログラム」
常に動作していますから、プログラムが存在している事すら自覚せずに生活出来るのです。

逆に言えば心の「自動プログラム」が存在し、その存在を感じさせずに自動で動くから正常な人と
言われるのです。






その、普段意識しなくても良いプログラムを、敢えて意識し、それを分析してその構造を理解しろ
言われても、「何がなんだかわからな-い」と言うのがホントなのです。






ただ、それを敢えて理解出来れば、自閉症について理解出来ると言う事なのです。
それだけ価値のある理論であり書籍です。WHOは賛辞を持ってローナ・ウイング博士を総会に招待しました。
その意義を日本人は知っているのでしょうか。そしてその基礎ともなったマインドブラインドネス






ところが、どうも専門家と称しても、
この書籍に出てくる理論を理解していない人間が山程居る様なのです。
特に辻井正次氏杉山登志朗医師の発言を見ると、ローナ・ウイングを引用しながら真っ向反する
意見を主張したりしていますから、本当に該当論文を読んでの話なのか非常に疑問に感じます。
詳細はこちらに書いてあります。

同様に、東京都でも東京都発達障害者支援センターの石橋悦子氏が自閉症のこどもに対して
ロールプレイで他人のきもちが分かるようにトレーニングしているとホームページ上でも報告してい
いました。その後もう20年。その結果はどうだったのでしょう。検証結果も報告して貰いたいモノです。

つい最近までトレーニングの効果を謳っていたのですが、今のホームページに代わり無くなりました。
さらにこの組織は東京都の組織にも関わらず組織図も責任者も記載しない不思議な組織です。
障害者関連組織は時々こうした責任不在の不思議な組織が時々出てきます。
2024年4月12日追記:
創価学会系団体嬉泉により運営されている東京都発達障害支援センター:現こどもtosuka。
組織図、運営責任者等を非公表。
東京都自閉症協会:同様にNPOの筈なのに、最新版と称して古い定款、現在無効の理事一覧を開示。
何故か創価学会系の団体は色々隠し事が多いよね。
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NPO法人は組織、運営者、理事の公開が必須条件なんだけどね。だから?創価学会の勧誘が嫌で
自閉症協会を辞める親が多いんだ。



話が逸れましたが、「自閉症スペクトル」の原理を理解したいなら、
この書籍を理解出来なければ絶対無理です。研究者向きの書籍ですが日本の支援施設の
担当者は高学歴。きっと理解できるでしょう。






一方私たち自閉症にとっても、自分たちが持っていない能力を知り、理解できる書籍ですから、難解でも有意義な噛み応えのある本です。






ウイングの「自閉症スペクトル」
フリスの「自閉症とアスペルガー症候群」
コーエンの「自閉症とマインドブラインドネス」

この3冊を完全に理解出来たら完璧ですが、私はまだまだ途上です


【自閉症テレビ25】自閉症サンプル

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他者の心の理解 [SAM]

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他者の心の理解」「マインドブラインドネス(マインドブラインドネス・それが自閉症)
「Understanding other minds」「MINDBLINDNESS」






コンピューターの発達と共に進化した「心の理論」心の理論に欠陥がある自閉症の私としては、
あくまでコンピューターの理論として考えた方が親和性があります。






コンピューターがスーパーコンピューターになろうとも、AIでいくら個人情報を増やそうとも、
「心」は持てません。






「心」のプログラムが作れないからです。人間は持っていますが、人間に匹敵するプログラムを
作れないのです。






一方、「心」を持たない「心の理論」を持たない、「心の理論の欠陥がある」人間が存在します。






それが、自閉症です。「他者の心の理解」が出来ないのです。だから自閉症なのです。






それを療育で「他人の気持ちを考えよう」と強要しているのが
日本の大多数の療育です。






能力の欠陥なのに、その能力が無い障害なのに強要を続けたら、人はどうなるのか。






壊れるのです。


【自閉症テレビ17】アスペルガー薬と療育


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わたしの心 [SAM]

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「心の理論」-自閉症の視点から-   八千代出版
   サイモン・バロン・コーエン

原題「Understanding other minds」






私には一番分かり易い「マインド・ブラインドネス」理論
つまり「マインドブラインドネスの人、この人の事を自閉症と言う」
しかし、正常な人達には逆に分かりにくいのかもしれません。






そのマインドブラインドネスの理論を裏付ける論文をまとめたのが、この書籍です。






「正常な人」が持つ「ココロ(マインド)」とは何か。どの様にはぐくまれ持ち得るのか。
そこへ至る過程、構造それらを含む理論を理解するためのモノですから、研究者向きと言って
良いでしょう。






この書籍の題名を付けるにあたり著者の葛藤も付記されています。「心の理論」「心の概念」
「民衆心理学」などの用語が候補に挙がりましたが、結局
「Understanding other minds」
(他者の心の理解)を採用したとあります。
残念ながらその著者の思いは届かず、日本の編集者は「心の理論」に差し替えてしまいました。






確かに受けは良いかもしれませんが、内容としては、「他者の心の理解」とした方が
余程分かり易い本です。


【自閉症テレビ24】社会性豊かなASD


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自閉症とマインド・ブラインドネス [SAM]

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「自閉症とマインド・ブラインドネス」   青土社
    サイモン・バロン=コーエン

原題「MAINDBLINDNESS」
副題(An Essay on Autism and Theory of Mind)






原題は「MAINDBLINDNESS」ですから、翻訳の「自閉症とマインド・ブラインドネス」と少し
ニュアンスが違う様に感じます。

そしてその内容はサイモン・バロン=コーエンが名付けた人の理論的解説つまり、
「マインドブラインドネスの人、この人の事を自閉症と言う」という内容です。






自閉症の子供を持つ親の必読書はローナ・ウイングの本ですが、理科系の自閉症当事者の私が、
最も親和性が高く自閉症の事を理解出来た本がこの書籍です。






計算機が身近になり、コンピューターと言うモノが作られた事で、それに伴い、
「物事を考え処理する方法」について深く考える人が多くなりました。
物事を「概念」「思い」で処理するのではなく、全ての物事を具体的に分解できなければプログラムは
作れません。





それらの考え方の進歩とも重なり、「心」とは何か。「気持ち」とは何か。「ヒト」とは何か。
そして、「自閉症」とは何か。それを見事に解き明かしたのがこの書籍です。






「人」が「ヒト」であるために獲得する、
ID→EDD→SAM→TOMMこれを分かり易く書いている筈なんですが、
自閉症である私は、SAMまで理解するのが精一杯で、未だにTOMMの理解まで行き着けていません。






皆さん興味があるなら読んで見て下さい。


【自閉症テレビ24】社会性豊かなASD


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私のきもち [SAM]

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2000年に突然始まった誰でも発達障害運動のおかげですっかり地道な現場の声が吹っ飛んで
しまいました。






その頃、巷で噂されていた話に「感想文が書けない子供が居る」と言う話があります。






この感想文が書けない言う話は、私や妻(共にアスペルガー症候群診断済み)も若かりし頃喫茶店で
デートしながらよく話しました。小学4年か5年になると、カリキュラムに感想文が組み込まれますから、
その時々の苦労話に事欠きません。
※注釈 妻の記憶では、小学2年1学期に読書感想文の課題があり今も克明に憶えています。
    「私はマッチ売りの少女を読みました。マッチ売りの少女がマッチをするところがおもしろ
     かったです。おわり。」
(その時の感想文を復元するとまるで将来の放火魔。ちなみに妻の国語の成績は優秀で高校卒業までずっと5だったそうです。)






では、本を読むのが嫌いかと言うとそんな事は無く、生まれてこのかた、私と同じぐらい本を読んでいる
人に会ったのは初めてで、読んでいる本もほぼ共通している事にも驚きました。






では、本を読む事が大好きで大量に読んでいるにも関わらず感想文が書けないとはどう言う事
でしょうか。






これも「マインドブラインドネス」自己の内面を知る術を持たない人間である事に
由来します。「マインドブラインドネスの人、この人の事を自閉症と言う」






現場の見識ある教師達は、勉強が出来るのに感想文を書けない「奇妙な子」の存在に
気付いていました。






この奇妙な子供達に初めに気付いたのが、ハンス・アスペルガーです。
ドイツでどうしようも無く手が付けられない子供がアスペルガーの元へ送られました。
その子供達があまりに奇妙なので、その行動様式を観察書き留め論文発表していたのです。






後日、ウイングなど若手の研究者が、自閉症と関連づけ自閉症スペクトル理論が成立したのです。






老齢のハンス・アスペルガーは、カナー型を自閉症とする考えから「違う」と言っていましたが、
ローナ・ウイングの定義は揺るぎないものと世界の医学界で賞賛と共に受け入れられました。
その根幹とする理論が「マインドブラインドネス」(自身の内面を見る事の出来ない人)なのです。






「正常な人」は本を読み、テレビを見て、何か話を聞いて瞬時に「自身の内面に起きた何か」を
無意識に知る事が出来ます。






その何かを既に知っているので、後は年相応の言葉に置き換える事が出来ます。
幼ければ幼いなりの言葉で表現し、小学生中学生と成長すればその知識に応じた表現になるのです。






一方私たちアスペルガー症候群の場合、知識のストックは膨大にあり、
時には教師をも黙らせる知識を持ち合わせながら、感想文となると書く事すら出来ないのです。






「ケネディは第二次世界大戦へ行きました。若くして大統領になりました。凄いと思います。終わり。」
学年でトップクラスの成績なのに、感想文がこれでは「テメーおれをおちょくってるのか」となります。
ある種の教師には徹底的に他では考えられない程目の敵にされイジメられるのも特徴で、
私も妻もそうやって学生生活を送ってきました。






私は「お前は転校生だから内申書0点だからな」と中学3年の時に何度か言われましたが、
言われている意味がさっぱり分からず、結局高校浪人する羽目になりました。
ビックリする両親と一緒に教師の自宅まで会いに行きましたが、
慌てる両親を見た教師が慌てていました。滑り止めに函館ラサールをひとり受験してましたが、
その青森の中学教師はラサール高校を知りませんでした。
(転校生で制服はみすぼらしく中卒でも構わない無関心な家庭と思われていたフシあり)






実はそれから45年経った今でも内申点0の意味は理解出来ないままです。






とにかく、感想文が書けない、と言うのは、非常に分かり易い一つの目安
なのです。



そしてもう一度当事者の文章とされるモノを読んでみて下さい。ソレは感想文ではありませんか?



【自閉症テレビ15】統合失調症と自閉症の謎1

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