すぐ泣くこども 泣かないこども [私の話(生育歴)]
「ホントにあんたは。ビービー泣いて。
いつまで泣いてるの!男でしょ!泣き止みなさい!」
「カーコみてごらん。カーコ。泣いたってすぐ泣き止んで切り替えるんだから。
あんたも泣いたら泣いたで、サッサと切り替えなさい!いつまでもグズグズ……」
物心ついた頃には毎日泣いていた私は、泣くと同時に毎日泣くなと叱られてた。
そんな泣き虫の私でも、4才の誕生日以前はあまり自分でも泣いて叱られた記憶が無いし、
実際母も
「あんたはネェ、赤んぼうの頃は毎日毎日、ケラケラ笑ってホントに機嫌のイイ子で、
全然泣かなかったのに、なんでこんなに泣くようになったんだろうね、マッタクーモー」
以来、声を出して泣く毎日だったが小学5年のある日、泣かずに済むテクニックを身につけてから
泣かなくなった。
時を経て自閉症の知識が増えたおかげで、昔の私の状態が解ってきた。
1.乳幼児から48ヶ月の期間
この時期は、成長し自我(マインド)を獲得する時期。
人は18~22ヶ月に自我の獲得を果たすがそれ以前でも、自分自身の体調、感覚もモニター
している。
その場合、赤んぼうは泣いて知らせるが、自閉症児は泣いて知らせる事が少ない。
22ヶ月を過ぎ自我(マインド)を獲得すると、自己を主張し、その主張の手段として泣く。
すでに言葉を獲得している子供はそれに言葉を付け加える事が出来る。
この時期、泣く事が生命の維持や、自己の満足を得るための手段でありコミュニケーションの
重要な手段である。
自閉症の子供は、知能の高低に関わらず、コミュニケーションを求めないからこの時期
「泣かない本当に育てやすい子」 なのである。
2.4才(48ヶ月)から小学5年生
カナー型の知能の低い子供はもちろんことばを得ていない。
一方、知能の高い自閉症アスペルガー症候群は、見かけ上言葉を得ているように見える。
さかんにテレビを見て言葉を覚え、その表面上の意味は理解している。
しかし、日常の生活に於いて「自分の気持ち」(マインド)それも相手に分からせる
適切な「単語、言葉」(コミュニケーション)がとっさに出ない。
だから、泣いて主張するしか手段が無い。
真の意味での言葉を持たないから「泣く」しか手立てが無いのである。
3.知能が高いに関わらずコミュニケーションの障害
2.の第一次反抗期に差し掛かった時点、さらに感想文と言う授業でさらに露わになる。
感想文とは、自身の中に芽生えた感想と文章に変えると言う事。
自我・マインド・自分の「気持ち」が分からなければ書けない文章なのだ。
マインドブラインドネス
=自分の感じた事をまとめて表す事が出来ない
=自分の感じた事が分からない
=感想文が書けない
この頃人は激しく成長しコミュニケーションをはぐくみ、一方自閉症はその障害ゆえに、
単独の特徴、或いは特異な行動が顕著になってくる。
私は、この頃の子供達のケアが一番重要だと考えるし、そこで「療育商売」につけ込まれると
子供は壊れてしまうと考えている。
4.泣かない大人
4才の頃から毎日毎日「泣くな」「泣くな」と泣く事がいけない事だと仕込まれた私はついに
小学5年のある日、泣かずに済むテクニックを獲得した。
以来、このテクニックを使い続け泣かなくなった。
するとどうだ。
大学に入学後のある日、
あれ程人に向かって「泣くな」「泣くな」と厳しく躾続けた母が、
「お前はそんな!能面みたないな顔をして!」と怒るでは無いか。
何をいまさら。
あんな、ちいさなかよわいこどもなのに、あんなに激しく泣くなと躾けておいて。
感情を捨てろと言ったのはアンタだ。
そんな、思いつきで、自分の感情のままに躾けて、何でも自分の思い通りになると考える方が
おかしい。
私は、アナタの言うとおり泣くのをやめたし、やめられた。
そして、同時に感情も捨てたんだ。
つづく
【自閉症テレビ8】天使の歌声
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